2021.01.07 16:04
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2020.11.23 05:05
アンドロイドAffetto(アフェット)は、大阪大学の研究グループによって開発されている子供の頭部型のロボットだ。
2011年に発表された姿は率直にいってかなり不気味なものであったが、2018年には柔らかな皮膚や髪の毛が追加され、リアルな子供の頭部に仕上がっていた(とはいえ、まだ不気味の谷の底だったが...)そして2020年には、本物の子供と見まごう程の出来栄えとなっており、ほとんど不気味の谷を越えてしまっている。
この研究グループは、人とロボットの触れ合いの中で豊かな情報が交わされ、その触れ合い情報を利活用できる社会の実現を目指してAffettoの開発を進めており、その最大の特徴は、「人間の表情を巧みに模倣する」という点だ。微笑んだり、口を開けたりするだけではなく、まるで「何かを思考している」ような表情を作ることができる。
そんなAffettoに最近、「痛み」を感じる機能が追加された。 今回はアップデートされたAffettoについて紹介していく。
引用元: frontiersin.org
結論から言えば、Affettoは合成皮膚を介したセンサーで圧力の変化を検知することにより、「痛み」を感じることができる。
つまり、優しいタッチと暴力的な打撃の違いを感じとる「痛みの神経系」が存在するということだ。
そしてAffettoは、センサーで感じ取った「痛み」をリアルな表情で表現する。その姿は、まるで本当に痛みを「感じている」ように思える。(痛みを感じるとはどういうことなのか考えさせられる)
大阪大学の研究グループは、痛みを感じるためのセンサーをAffettoに導入することによって、人間の苦痛に対する共感を生むことを望んでいるという。つまり、「他人の痛みを認識できるロボット」ということだろう。なお、このロボットは高齢者介護の領域に進出する可能性があるのだという。
引用元: 大阪大学
Affettoは、我々に「痛みとは何か」をもう一度考えるきっかけを与えてくれる。
センサーで感じ取った刺激をプログラムによって表情に反映させるのは、「偽の痛み」なのだろうか?
仮にその答えがイエスなのだとすれば、打撲などの刺激が電気信号に変換され、神経を伝って脳に届き表情に反映される我々人間の痛みは、果たして「本当の痛み」と言えるのだろうか?
あるいは、Affettoには「痛み」を「苦痛」と捉える感情がないゆえに、「偽の痛み」だと考えることもできるかもしれない。
では、「痛み」を「苦痛」と捉える感情がないロボットに対して、「痛み」を与えることはどこまで倫理的に許されるのだろうか?
「ロボットと人間の違いは何か」という古典的なSF作品の問いかけが、いよいよ現実になってきたようだ。