2021.01.07 16:04
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2020.11.03 01:01
培養肉とは、牛や魚などの動物から少量の細胞を採取し、その培養によって得られる肉のことだ。
培養肉には、主に以下の4つの目的があると言われている。
出典: Unsplash
今回は、そんな培養肉を推進しているベンチャー企業を5つほどご紹介していく。
インテグリカルチャー 独自技術 「CulNet System」
まず紹介するのは東京都にあるベンチャー企業、IntegriCulture だ。 IntegriCultureは、コスメから食材までの様々な利用範囲をもった汎用大規模細胞培養技術「CulNet System」を利用し、社会課題の解決および食文化やライフスタイルの変化を目指している。
これまで培養肉には「細胞培養が高コストである」という課題があったが、IntegriCultureは体内システムに似たシステムを構築する事で、細胞培養の大幅なコストダウンを可能にした。
2020年7月20日にはシンガポールのShiok Meats Pte. Ltd.(Shiok Meats)とともにエビ細胞培養肉の共同研究を開始すると発表し、牛や鳥だけでなく、甲殻類の細胞培養にも取り組んでいる。
インテグリカルチャー CEO・羽生 雄毅氏(左) CTO・川島 一公氏(右)
出典: Wildtype
Wildtypeは、シーフードの培養肉を推進しているサンフランシスコのベンチャー企業だ。
Wildtypeは培養技術のみならず、彼らの培養肉を利用するシェフのコミュニティを持っている。現在、彼らはコミュニティのシェフに対して生食可能な培養サーモンの予約注文受付を開始しており、培養サーモンを寿司としてメニューに加えるシェフを探している。
なお、培養サーモンは今すぐに発売されるというわけではなく、実際に商品化されるのはまだ5年先の話だという。
出典: Aleph Farms
イスラエルのベンチャー企業であるAleph Farmsは、テクニオン・イスラエル工科大学と協力し、牛の細胞を利用して薄切りステーキをつくることに成功している。
Aleph Farmsの特徴は、3Dバイオプリンターを用いて肉を生成することにある。2019年9月26日には、国際宇宙ステーションで3Dバイオプリンティング技術によって筋組織を培養することにも成功しており、将来的には宇宙で暮らす人々に培養肉を提供することができるようになるのだという。
直近では、2021年までにクリーンミートの薄切りステーキを高級レストランで提供することを目標としており、価格は50ドルと想定されている。
出典: Mosa Meat
Mosa Meatは、2013年に世界で初めて人工培養肉によるハンバーガーを作ったオランダのベンチャー企業だ。
彼らの作る培養肉ハンバーガーは、開発当初は一あたり25万ユーロ(約3000万円)もかかり、また味もよくなかったという。しかし、2018年には開発コストは500ユーロ(約6万円)にまで下がり、味も向上したと報告されている。
さらに今後は、生産規模を拡大することによって12ユーロ(約1400円)までコストダウンできるのだという。
出典: Memphis Meats
Memphis Meatsはカリフォルニア州バークレーを拠点とするベンチャー企業だ。
Memphis Meatsの特徴はその資金額であり、ビル・ゲイツやリチャード・ブランソンといった富豪から、食肉大手タイソン・フーズにまで出資を受けている。2020年1月22日には、ソフトバンクグループやシンガポールのファンドのテマセク・ホールディングスなどから1億6100万ドルの資金を調達しており、最新の資金調達ラウンドでは1億8000万ドル以上の資金額を突破している。
Memphis Meatsはミートボールや鶏の唐揚げ、ダック・ア・ロランジュなど様々な種類の料理を培養肉によって実現しており、自然な肉の風味をほとんど再現できているのだという。
ここまで培養肉ベンチャー企業をいくつかご紹介してきたが、実際のところ培養肉が普及する未来は来るのだろうか?
培養肉には様々なメリットがある一方で、実用化にはいくつかの壁があると言わざるを得ない。中でも最も高い壁は生産コストだ。現状、細胞の大量培養の効率化が十分ではないため、需要が見込めるまでにコストを抑えることは難しい。また、コストが抑えられたとしても、消費者が培養肉を受け入れてくれるかという問題がある。実際、培養肉の味は従来の肉と比べて劣ってしまう。加えて、人工的に生産された肉を食することに否定的な意見もある。
出典: Unsplash
しかしながら、技術の発展によって、従来の食肉と同等程度までに低価格化することができると予測されており、また、「完全食」や「代替肉」などによって食文化自体が見直されてきている風潮もある。遠い未来になるかもしれないが、培養肉による料理が私たちの食卓に並ぶ日はいつかやってくるだろう。